生鮮市場ヤオシチ

「おいしさでハートをつなぐ」

生鮮市場ヤオシチは、宿場町で有名な東京・千住の大門商店街の一角に店舗を構える老舗スーパーマーケット。もとは八百屋だったと言うこちらの会社、「元気で明るく楽しいお店作り」が運営の基本なのだとか。昨今元気がないと言われている「商店街」の中で、ヤオシチのある大門商店街は一日中活気に満ちたやり取りがそこここで見受けられる23区内でも類を見ない賑わいのある商店街だ。そんな大門商店街の中でもひときわ大きく目立つ店舗を展開している生鮮市場ヤオシチ。今日は自らが現場に立ち、日々の業務に目を配る鈴木久栄社長に店舗の運営や経営にかかわるお話をお伺いしてきた。

■ 生鮮市場ヤオシチについてお聞かせください

創業は昭和44年。私で三代目です。初代の名前がシチゾウと言い、八百屋から始まったお店なのでヤオヤとシチゾウで=ヤオシチになりました。三人とも戌年で、共通点はそこくらいかな。(犬に例えると)お父さん番犬、あたし 狂犬(笑)。元気だけが取り柄です。

スーパーは今、みんな安くなってしまって。(北千住の)イトーヨーカドーさんがプライスさん(ヨーカドー系列のディスカウントスーパー)になったりしてますが、うちはそういったディスカウンターになるつもりはないんです。安くは売らない。その代わりと言っては何ですが、広告で競争した時には10円20円で負けちゃったとしても広告が入った時だけではなく、20円高いのは申し訳ないけれども、いつでもこの金額で買えるよって言う販売の仕方をしています。我々も生きていく為にそれ以下にはできない。と言うことをきちんとお客様にお伝えした上で商売しています。なので値段で勝負する気はさらさらありません。とにかくおいしいものや珍しいもの、話題になってるものを全国から選りすぐってお店でご紹介し、同時に産地直送、出来立て、作りたて、そういった「おいしさ」にまつわる様々な事をお伝えできるお店作りを心がけています。 「何かおいしい。」「何か他とは違う。」そう言っていただけたら最高ですね。“おいしさでハートをつなぐ”って言うのが我々のキャッチフレーズですから。

■ 安売り店が台頭してきている中、御社が工夫している点を教えてください

携帯メールを活用した情報の配信を行っております。日々のお勧め品やお買い得情報、イベントの告知やセールの案内などを定期的に配信しています。

また、お買い物定期券と言ってポイントカードを導入しています。このポイントカードは7のつく日はポイント3倍、木曜日はあだち子育てパスポート持参の方は20%引き、雨の日は感謝ポイント・・・と言う一般的な活用の仕方の他、ポイントカードをお客様に使用していただく事によって、お客さま個々の好みや嗜好が蓄積されていく履歴を活用して、そのお客様が喜びそうなサービスや企画していくのに活用しております。“お客さまが喜びそうなサービス”と言うと漠然としていますが、例えばこんな感じです。

あるメーカーの飲料がとても好きなお客様がいらしゃって週に何本、月に何本、と、定期的にお求めになってくださってる。その方はそのメーカーの商品が好き(ファン)だから当店にいらしてくださってる訳ですから、そのメーカーの新製品を試しに飲んでみてください とお声がけしたら喜んで試飲してくれるのではないか。そう言った話をメーカーさんにお話して新製品を既存のファンにいち早く試してもらい

・ お客様
 新しい製品をいちはやく試せて嬉しい
・ メーカー
 新製品の反応と手ごたえがわかる
・ ヤオシチ
 再度来店のきっかけになる

と言う、それぞれにメリットがある販促方法を企画していくと言う訳です。

メーカーさんから見たらただ協賛だとしてくださいって言ってもメリットが薄いかと思いますが「じゃあ、御社の○○を買ってるお客様だけに新商品をいち早くあげませんか?」って言うと喜んで協賛してくれますし、何よりお客様が喜びます。お客様からしてみれば好きだからその会社の商品を買ってくださってるので「新製品、どうですか?」と言われれば、間違いなく嬉しい。そしてそのお客様が「こないだヤオシチでこれもらったのよ~ おいしかったわよ」 って まだ新商品としてあまり出回ってないものをその方は飲んでる事でお客様にとっての付加価値が生まれます。(新商品)が本格的に出回った時に「あ、飲んだわよ おいしいわよ」ってまた口コミしてくれる。“お客様が喜びそうなサービス”は例えばこんな事を指すわけです。

弊社も他店同様、POSデーターを活用したお客様管理システムを導入していますが、こういったシステムは上記の販売促進はもちろんの事、商品ラインアップの選定にも大いに役立ちます。

例えば、1ヶ月に5本しか売れない商品があるとします。同等製品に比べ、ちょっと高めの価格帯で6本入りで仕入れたのにそれが一ヶ月に5本しか売れなくって・・1本ロスって・・もう・・・と、回転率は正直悪いのですが、だけど、じゃあそれ誰が買っているんだろうってなった時に会員のお客さんが買ってたりすると、それはもしかしたらマグネットになってるかもしれないと弊社は考えるのです。それがあるからうちに来てくれるのかもしれない。そうするとそれは棚から外さない と言う判断を下します。

また、利益率を確保する為の努力も忘れてません。小規模店舗の弊社はイトーヨカードーさんやイオンさんと比べると仕入れ値が全く違います。お客様は様々なお店に行かれますので彼らの提示する価格を全く無視するわけにもいきません。そこで、彼らと同じ物(商品Aとします)を同じ価格帯で当店も販売しますが弊社の場合は、その商品Aの隣に、同じ価格帯のもっと利益の高い商品(商品Bとします)を3倍のスペースを割いて並べて販売し、利益を確保しています。セールや特売、試食販売などで当店がイチオシするのはもちろん商品Bとなり、“なぜ商品Bをおすすめするのか”と言うメッセージを店内POPでお知らせし、とにかく重点的に売ります。ただ、弊社はそもそもの他所様との競争から外れるつもりはないからだから、やっぱり商品Aはマークしないといけない。でも商品Aが売れるお店になっちゃうと困ってしまします。首が締まっちゃいますから。売れれば売れるほど儲からないのですから。なので、商品Aはラインナップしてあれば良く、「あ、ヤオシチにも商品Aがあるんだ。大きいところとそんなに変わらない価格で。」とお客様に思ってもらうのが目的の商品としております。「商品A はい ありますよ うち 毎日○○円です。ハイ どうぞ」 と言うくらいで商品Aは全然推しません。こうして常に利益を確保できる商品(商品B)と定番商品(商品A)を工夫して陳列して売り場を作ってます。

■ おいしいものにこだわってる点について詳しくお聞かせください

父の時代はとにかく品物があれば・・品物が足りなくてここまでしか売れなかったっていう時代でした。翻って現在は引く手あまたというか、品物が有り余ってます。お客様のライフスタイルも趣味趣向も様々になって。で、その中で生きていくわけだから 他と全くおんなじ事やってても全然ダメだと言う思いから、弊社では「おいしいものをおいしいと思う感覚、そのおいしい感覚のハードルを上げて行く」と言う取り組みを行ってます。店頭での試食販売はもちろんですが、お客様に試食していただくだけでなく、スタッフ全員に新しい商品・お勧めの商品食べてもらい、おいしさの共有を図っています。普段は同じ店内で働くスタッフ同士ですが、家に帰ればそれぞれの生活がありますし、各家庭で食べてるものも違います。奥さんがどこで買い物をしてるかなんてわかるはずも無く、ましてや刻まれた野菜が食卓に上がってくるわけですから。そういった感覚の相違を職場で同じものを食べることで共有していく。「これが朝採れのきゅうりだよ」って言って食べさせてはじめて人間「はーっ」てわかると言うか。そうやっておいしさのハードルをちょっとづつ上げていきたいんです。

一方でお客様に対しては、我々がお勧めするものを実際に食べていただくのが一番だと思いますので対面販売、今は特に野菜に力を入れてご紹介をしています。私的には、「おいしいですよ。だから買ってください。」ってやり方が絶対にやってはいけないと思ってます。食べてもらう。まずそれが大事。あと、絶対に買わない人にこそ食べて欲しいと言う思いもありますね。その方が我々の新しいお客様になる可能性がある人なので。

■ 詳しくお聞かせください

例えば1袋100円だと思うものが150円で売られていたら高いと思いますよね。高いから買わないって。でも高いのには理由があって育て方が違ければ水も違う肥料も違う。何もかもが違う。だからとにかく食べてみてもらいたい。・・・って言って食べてもらう。その人にはその場で買ってもらわなくていいのです。確かに違うって言うのがわかっていただければ。「あそこ(ヤオシチ)に、おいしいものが売ってる」って言う思い(イメージ)だけ残ってくれればそれでいいのです。

350円のプリンもそう。“一週間のご褒美”“ちょっと贅沢”そんな感覚でお求めいただけたらと思いますが、中々手が出ない方もいらっしゃると思います。 「えー。350円もするプリン・・って、食べてみてもいいんですか??」っていいながら食べてさせて見させてこそ「あー。やっぱりおいしい」って言う言葉が出てくると思うんです。やっぱりいつも食べてる3個で98円のプリンとは違うって。そう思っていただいた後に【今週は頑張ったから自分にご褒美】って時が来たらこの350円のプリンを思い出していただければ。もう子供なんで目がパチパチしちゃいますからね、おいしいもの食べると全然違いますから。

そういった経験を積み重ねていただく事で“自分たちのご飯の時は買わないけど、子供が来た時や孫が来た時に、大切な人が来た時においしいものを食べさせたい”そんな時に思い出して来てくれるのがベストですね。

また、今も昔もそうですが、野菜ぎらいのお子さんが多いので今後は野菜の対面販売も力を入れていき、皆さんのおいしさのハードルを上げて行きたく思います。私が見る限りではお母さんの洗脳と言うか、思い込みでお子さんが特定の野菜嫌いになってるケースを多々見受けます。

「うちの娘はにんじん食べませんから」とお母さんがはじめからおっしゃってて、こちらが「このにんじんはたぶん食べると思いますよ」ってご案内すると「えー、食べないですよ」ってお母さんが言う。その傍で子供は食べてみたそうな顔をしてる。そして、食べる訳です。子供が嫌いなのはにんじんじゃなくて、にんじんにいつもお母さんが当たり前のようにつけてる化学調味料が入ったドレッシングが嫌いなのではないかと。素材そのものを何の味もつけていない、ただ取立てのそのものを食べてくださいって食べてもらうと「甘みがあっておいしいって。」本当に喜んでくれます。お子さんは自分のおうちで出てくるピーマンとここのお店で食べさせてもらってるピーマンって言うのは全く違うものだと認識するのです。場所が変わると。でもお母さんが「あなたはピーマンが嫌いでしょ、食べられないでしょ」って洗脳すると、もう食べない。生でダメなら焼いたり上げたり肉詰めにしたり、ムースにしたり、いろいろ調理法もあるかと思うのですが。 そういった日々のやり取りを通じて微力ながら我々の働きで野菜嫌いの子が減少すると良いなと考えてます。

■ 今度はどのように展開していくご予定ですか

9月に青果売り場をリニューアルします。今度は楽しい売り場にする予定です。青果は五感で買うものですから、見て、触って、そしてちゃんと匂いがする。そのシーズンシーズンの匂いがする売り場を作りたいと思っています。野菜と果物が別に陳列されているのは日本だけですが、リニューアル後は野菜と果物って言うくくりがなく、色彩感覚で売り場を作って行く計画です。赤・黄・緑・白・・・様々な色のグループの青果たちが陳列されていく、考えただけで楽しみです。「何にしようかな」や「何食べようかな」って言うときにはお客様には楽しくなって欲しいですから。おいしくないと、楽しくないですから。引き続き今後も種をまきを怠らず、「おいしさでハートをつなぐ」ヤオシチのお客様に喜んでいただけるように全国のおいしいものをご紹介していきたいと思います。




企業情報


【企業データ】
生鮮市場ヤオシチ

【特色】
新鮮な野菜、おいしいお魚、各種惣菜も
豊富にご用意しております。

【本社所在地】
東京都足立区千住龍田町28-20

【最寄り駅】
JR・東京メトロ・つくばエクスプレス 北千住駅

【電話番号】
03-3882-5736

【URL】
http://www.adachionlyone.com/yaosichi/

【代表者名】
嶋田 久栄

【設立年月日】
1969年(昭和44年)


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